長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
「相続」や「遺産分割」という言葉を聞くと、トラブルやお家騒動といった揉め事を想像するかもしれませんね。
相続に関連する記事では、『争族(あらそうぞく)』といった表記をしている記事も少なくありません。
「相続は必ず揉める」というわけではありませんが、遺産分割の話し合いがまとまらないケースはいくつかあります。こうした「揉める」典型的なパターンを紹介していきます。
人間関係に問題がある場合のトラブル
相続人同士の仲が悪いような場合、円滑な話し合いを妨げます。仲が悪くなった原因や理由はさまざまですが、次の①~③のような事情がきっかけになることが多いようです。
① 相続人のうちの一人に、若い頃に非行に走っていた、お金を持ち出したなどといった家族を困らせた過去があり、親兄弟と折り合いが悪い場合
② 父親が再婚していて、後妻やその子どもも相続人となっているが、そもそも親族としての付き合いがない場合
③ 父親に隠し子がいたことが判明した場合 など
このように家族関係に問題があったり複雑だったりする場合は、明らかに感情的な対立が強く、話し合いが難航する確率も高くなります。
③の隠し子がいたというケースでは、その子どもが認知されていたのかによって、そもそも相続人にあたるのかどうかということが問題になり、いわゆる死後認知が訴訟で争われることもよくあるということです。
また、ここまであからさまでなくとも、④~⑤のように、長年、個人の胸の内にあった不満により、関係性が悪くなることもあります。
④ 兄弟姉妹の一人だけが(たとえば跡取りだからという理由で)親から特別扱いされていた場合
⑤ 兄弟姉妹のうち、自分だけが親の面倒を見てきた場合 など
このような不満は、実の兄弟姉妹であっても、相続の際に露呈しやすいといえます。
もしも相続人のなかに、被相続人の生前に贈与を受けていた人がいたり、被相続人の生前の介護や生活援助等の面倒を見ていた人がいたりする場合は、具体的な相続の取り分をどのように調整するかが問題となることがあります。いわゆる『特別受益』や『寄与分』に関係する問題です。
なお、相続人同士の仲が良い悪いという以前に、居場所がわからなかったり、遠方にいて疎遠のため連絡が取れなかったりという理由で、相続の手続きが進められずに困るケースも多いようです。
遺産の分け方で話し合いがつかない場合
一方、遺産をどのように分けるかで話し合いがまとまらないことも多くあります。
相続における遺産分割の割合については、民法で法定相続分が定められています。
しかし、たとえば遺産に自宅不動産があり、相続人の誰かが自宅不動産を取得することを希望した場合などには、不動産の評価額次第では、不動産をもらうと法定相続分以上を取得することになり、ほかの相続人より財産を多く相続する状態になってしまうことがあります。
そのような場合は、法定相続分通りに分けるために、ほかの相続人に対して、もらいすぎとなる金額を支払って調整しなければなりません。この方法を『代償分割』といいます。
自宅を相続したい相続人は、借金や資産売却をしてお金を用意する必要があり、それができない場合には、ほかの相続人に自分の取り分が少なくなることを受け入れるなどの譲歩をしてもらわなければ話はまとまりません。そうすると、そこで話し合いが膠着状態となる可能性があります。
代償分割に充てるお金が用意できない、また、ほかの相続人が承諾してくれない場合、最終的にはその不動産を売却したうえで公平に分配するか、不動産を共有状態にするしかありません。しかし、その判断もなかなか簡単につくものではないでしょう。
不動産のように現物のため割合通りにきれいに分けるのが難しい財産は、結果として話し合いが長期化することが大変多いのです。
このように相続の現場では、相続人の関係性に端を発する感情的な対立が争いを強めるだけでなく、遺産の分け方についての意見が合わないことが多々あります。
「揉めない」よう事前に手立てしておくことも必要!
今までご紹介してきた「争族(あらそうぞく)」の事例ですが、準備をしておいても「揉める」ことはあるかもしれません。
しかし、事前に「揉める」のを回避するよう、あらかじめ準備しておく方が、「何も準備しない」で相続が発生してしまうよりは格段に「良い相続」となる可能性が高くなると思います。
「事前の準備」とは、たとえば、「公正証書遺言書」を遺しておくとか、あらかじめ「家族会議」を開いて、お互いの気持ちを確認しておくなどの方法が考えられます。
たとえ、仲のよい兄弟姉妹どおしであっても、親の気持ちや子供それぞれの気持ちを事前に確認しておくことは、のちのトラブル防止のためにも非常に意義のあることだと考えます。
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