長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
最近「公正証書遺言」、すなわち遺言書を公正証書で作成される方が増えています。「公正証書遺言」とは、その名の通り遺言を公正証書にしたもののことをいいます。
公正証書は個人などからの依頼により、公証役場の公証人が作成する文書のことです。公証人は、元裁判官や元検察官などの法律の専門家で、法務大臣から任命を受け、公正中立な立場で文書の作成を行ってくれます。
公正証書遺言を作成する際には、「公証役場」に出向いて手続きを行う必要があります。施設に入所している、病院に入院しているなど公証役場まで行くのが困難な場合は、公証人が指定の場所まで出向いてくれます。この場合は手数料が余計にかかります。私が手掛けた公正証書作成では、ご自宅や会社会議室に公証人に訪問していただいたケースもありました。
一方、公正証書を利用せず自分で作成した遺言書は、「自筆証書遺言」と呼ばれます。
今回は、遺言にまつわる話題、遺言書を残すことで可能な対策について考えていきましょう。遺言書の中でできる「遺留分対策」「争族対策」とはどういったものでしょうか。
「遺留分」とは何のこと?
相続を話題にしていると「遺留分(いりゅうぶん)」という言葉がたびたび登場します。みなさんも「遺留分」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「遺留分」は、特定の相続人に対して法律で保障された最低限の遺産を受け取る権利のことをいいます。
原則として遺言内容よりも遺留分が優先されるため、遺言書を作成する際には、「遺留分を侵害しているかどうか」や「遺留分への配慮や対策」が重要になってきます。
何らかの理由で遺産を渡したくない推定相続人がいる場合において、遺言書を作成する時に遺言書の中に記載することによって、対応することができる遺留分対策をご紹介します。
遺言書の中でできる遺留分対策とは?
1)付言事項にメッセージを残す
遺言書には遺言内容のほかに、付言事項(ふげんじこう)をつけることができます。この「付言事項」は、法的効力はありませんが、遺言書の末尾に、家族等への感謝や、なぜこのような遺言内容にしたか等の想いをメッセージとして書き記すものです。
付言事項に遺言者の気持ちや遺される家族への配慮、紛争を望まない旨の希望などを記載しておくことで、その付言を読んだ家族に納得感が生まれたり、あえて遺留分侵害額請求をして争おうとは思わなくなる心理的な紛争抑制効果があります。
最近私がサポートさせていただいた公正証書遺言でも、付言事項の中で遺留分の請求しないように希望する旨を記載しています。
2)遺言書の相談と併せて遺言執行者に行政書士などの専門家を指定
相続の専門家である行政書士などに遺言書作成などの相談することで、遺留分への配慮や、争族対策として効果的な遺言書の文案を提案してもらうことができます。
それとともに重要なのが、遺言執行者に行政書士などの専門家を選任しておくことも、相続人のストレス軽減やトラブル回避としては有効な方法になります。
遺言執行者は、遺言内容を実行する役割を担う人のことで、相続人など原則誰でもなることができます。
しかし、遺言執行者は、単に銀行や証券会社を回って解約払戻や名義変更の手続きをするだけではなく、相続人全員に遺言内容を開示したり、遺産目録の作成・開示などをする役割も担います。円満ではない他の相続人と連絡を取ることや、その相手方から攻撃的な内容の連絡を受けることもあり得ます。
遺言書の作成相談と併せて遺言執行者に行政書士などの専門家を指定しておくことで、将来、煩雑な遺言執行手続きをすべて任せると共に、紛争性のある相続人同士の間に入って、緩衝材や防波堤の役割を担うことで、無用なストレスやトラブルが生じることを防ぐ効果も期待できます。
ディアパートナー行政書士事務所では、当職が遺言執行者に指定された場合、私が何らかの事情により遺言執行できない事態に備えて、「予備的遺言執行者」を指定しています。この予備的遺言者には個人ではなく法人を指定することにより、遺言執行不能というリスクを極力低減させています。
3)遺留分権利者に遺留分相当額を分割で支払う旨を規定する
遺産をより多く受け取る相続人(遺留分を侵害している相続人)は、遺留分権利者(遺留分を侵害されている相続人)から遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分侵害額を一括で支払うことが原則になります。
遺留分を侵害する内容の遺言を遺しただけでは、相続発生後に、「遺留分侵害額」がいくらになるかの認定から争いになり、さらにそこで算定された遺留分侵害額は一括で支払うように請求されることになります。
このリスクを軽減するために、遺産をより多く受け取る相続人に、遺留分権利者に対して、遺留分相当額又はそれ以上の金額を分割して支払う旨の条項を敢えて遺言書の中に規定しておくことが考えられます。
こうすることで、その遺言内容が遺留分を侵害していなければ、遺留分権利者は、文句をつけることができず、遺留分侵害額請求の調停や訴訟を起こすこともできなくなり、将来の紛争リスクを回避することにつながります。
遺言書の中でできる代表的な遺留分対策をご紹介しましたが、遺言書以外でも、例えば、生前贈与や生命保険の活用、養子縁組など、遺留分対策の手法はいくつもあります。
どの手法を採用するか、あるいは複数の手法をどのように組み合わせるか、はそれぞれの環境によって違いますので、相続対策に詳しい専門家にご相談することをおススメします。
争続対策や遺留分対策のご相談はディアパートナー行政書士事務所へ
ディアパートナー行政書士事務所では、公正証書遺言をはじめ、生前贈与や生命保険の活用など生前の相続対策の実績も多数ありますので、お気軽にご相談いただきたいと思います。
生前贈与における相続時精算課税の選択や特例による税の減免制度などについても、税理士と連携しながら、最適な対策をご提案することが可能です。
争続対策や遺留分対策、相続対策全般についてもディアパートナー行政書士事務所へお気軽にご相談ください。
ディアパートナー行政書士事務所
電 話:0263-34-6163
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